愛媛県久万造林に聞く「森林管理業者が作業をデジタル化するメリット」

2022年3月7日月曜日 · 5分で読める

今回からLOBSTAブログで新しく「林業とDX」について森林事業に携わる様々な方をお呼びしてインタビューシリーズを発信していきます!

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創業明治6年!150年の歴史を持つ久万造林株式会社

今回はインタビューをお引き受けくださり、ありがとうございます!まず、久万造林の簡単な紹介と現在の状況について教えていただけますか?

はい。私たち久万造林株式会社は、愛媛県久万高原町で150年の歴史を持つ森林管理業者です。  

現在、弊社の所有山林面積は約320ヘクタールで、その90%が杉・桧の人工林で、杉6割、桧4割という構成です。今現在、第二世代の間伐期に入っており、すでに3~4回伐採済みです。

kuma forestry

昔は自分自身伐採作業もしていましたが、今は基本的に管理の仕事となり一人でやっています。 不動産管理業に近い形と思っていただければ分かりやすいかと思います。

デジタル管理でのメリットと5ヵ年計画

150年の歴史、すごいです!これまで実際に伐採の作業を通じて今の管理形態を構築してこられたのですね。管理はどのようにされているのでしょうか?

弊社では5年間のスケジュールを組んで伐採業者さんに依頼しています。 久万造林所有の森林は320ヘクタールあるので、年間30ヘクタールづつに小分けすると、約10年で一つのサイクルになります。それを二等分にして、5ヵ年計画を作っています。

そのように5年先のことを計画できるのは、経営上とても有利ですね。ただ、そこまで先のことを計画するには、文字通り「木を見るのではなく森を見る」全体を把握する必要がありますよね?広大な森林の情報を久万造林さんではどのように情報を整理されているのですか?

愛媛県ではオープンデータで地図がもらえるので、それをQGISに入れて使っています。カスタムマップ上の自社所有森林地帯に色を付け、エクセルでタスクを管理しています。普段の管理は全てパソコンで行い、業者さんに渡すときは紙に出力してお渡ししています。

林業の場合、天候などの自然要素に左右され納期が不安定になるので、いかに安定できるかが経営者として重要になります。そのため弊社ではデータをデジタルで管理することに重きを置いています。

その意味で、リアルタイムで業者さんとやりとりができると天候に左右される要素が減り、臨機応変な対応ができるので次のステップとして外部とのやり取りも全てデジタルで一元化できるようにしたいと考えています。

また、この前3Dレーザー測量を実施したのですが地図を3Dにして、そのまま業者にデータで渡せるようにしたいとも考えています。 伐採は地形によって木を切る方向などが変わるため、地形まで分かると業者にとってうんと作業がしやすくなります。

伐採作業におけるスマホの意義

なるほど!そういう視点があったのですね。地図を3D対応するメリットがよく分かりました。LOBSTAでも取り入れていきたい点です。ちなみに、LOBSTAではスマホ端末でオフラインで地図上にメモを取れる機能があるのですが、伐採を行う業者さんへ紙ではなくデジタルでデータを渡す際、スマホなどの端末で作業ができると便利でしょうか?

そうですね、伐採をお願いする業者の従業員は若い世代が多く、スマホに慣れているのでモバイルで使えることは重要ですね。逆に若い世代はスマホ世代でパソコンの使い方を知らないことも多いので、プラットフォーム管理の点では使い方を教える必要はあると感じます。なので、今現在、業者にはスマホで写真を撮ってメモを取るように教えてデジタル記録の習慣づけをしてもらっています。やはり、慣れてもらうことが大切ですからね。

デジタルで地図上にメモを取ってもらえるともちろん助かります。業者さんは紙の地図上にメモを書いて持ってくるのが一般的ですが、私たちの場合後でどのみちデジタル化する必要があるため、その手間が省けるのはありがたいですね。

変わる林業、その先を見て…

久万造林さんは明治6年から現在まで150年の歴史を持つ老舗の森林管理会社ですが、なぜこのようにデジタル化への関心が非常い高いのか気になります。どうしてデジタル化へ積極的な姿勢を持っていらっしゃるのでしょうか?

伝統的なイメージの強い林業ですが、意外と変化しています。管理面では、紙(アナログ)からPC(デジタル)へ、建築用材料としてのの木材提供から、山林全体の活用へ。これからも100年、200年と続く健全な山を持続していく為には、総合的に常にその先を考えていくことが大切だと思います。

現在久万造林では黄金の森プロジェクト という森林の空間を利用して新しい価値を生み出す試みをしています。「場」を作ることで従来の林業の形にとらわれない新しい可能性を生み出すことが未来の林業を形作る上で非常に重要、必要不可欠と感じているからです。

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そのほかにはカフェの運営や、Motomoto Kuma という木の皮を利用したプロダクトブランドの展開なども手がけています。

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林業に新しい価値を生み出す、たくさんの素敵な試みをされている久万造林さん。

次世代を見据えて先進的な取り組みに挑戦し続ける久万造林さんの軌跡を今後もぜひチェックしてみてください!

久万造林株式会社ウェブサイト